高湯温泉

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温泉の効能

重ねの癒。

「三日一廻り、三廻り十日」と言う高湯湯治に必要な日数を示す。ひと廻りで身体を湯にならし、ふた廻りで身体の悪い部分がとれ、参廻りで調子が改善されるのだと言う。高湯の底力を愉しむには少なくても参廻り、十日間かかるという説である。

すなわち高湯に来たら、どんな無精者も「三日坊主」は浸かり損ということになる。その日の体調・癒処に合わせ急がず慌てずのんびり湯と向き合うことが高湯遊びの醍醐味。凛と清らかな山麓の精気を魂の馳走に、朝な夕な温泉街の鄙道をぶらぶらと昇っては降り、ときわすれの贅にとっぷりひたる。

かつて米味噌布団を担ぎ馬の背に揺られ出向いた山の湯の逗留。ゆるやかな往時の刻の流れに心を重ね、文豪気分で洒脱に過ごすも一興か。

「参廻り目の、正直。」 ─ 高湯温泉。

日本の湯治文化の
継承者として

高湯温泉の泉質と効用

高湯の送湯管は主に赤松が使われている。明治時代、イギリス製の蒸気機械で鉛筆状にくり抜き、管を何本もつないで送湯した。
赤松を使用するのは木の油分が硫黄泉に適しているらしく、昔から浴槽や木樋に使用されている。

泉質

酸性・含硫黄(硫化水素型)
-アルミニウム・カルシウム硫酸塩温泉(硫黄泉)
(低張性-酸性-高温泉)
<温度>42℃~51℃

効用

高血圧症、動脈硬化症、末梢循環障害、リウマチ、糖尿病、慢性中毒症、にきび、しもやけ、やけど、切きず、婦人病、不妊症、水虫、あせも、胃腸病、神経痛、慢性湿疹、便秘、脱肛、皮フ病、手足多汗症、アトピー性皮膚炎

硫黄泉で症状改善する温泉情報

「温泉には、マイルドな副じん皮質刺激ホルモンに似た働きがあるようだ。 ことに硫黄泉、硫化水素泉にこの作用が強い」(信濃毎日新聞・延永正九州大学名誉教授)

「阿岸祐幸・北海道大学名誉教授(温泉保養地医学)は、4週間の温泉療法によって耐糖能が改善し、インスリンの分泌が増加することを突き止めている。 血糖値、基礎代謝量などは、およそ7日間の周期を描きながら正常化する」(信濃毎日新聞)

温泉1kg中の成分
(高湯26番泉 滝の湯 738リットル/分)

高湯温泉共同浴場引湯源泉

水素イオン濃度(pH) 2.7 溶存物質(ガス性のものを除く) 1.163g/kg
蒸発残留物 1195mg/kg 成分総計 1.871g/kg
陽イオン mg/kg 陰イオン mg/kg
ナトリウムイオン(Na+)
カリウムイオン(K+)
マグネシウムイオン(Mg2+)
カルシウムイオン(Ca2+)
アルミニウムイオン(Al3+)
マンガンイオン(Mn2+)
鉄(II)イオン(Fe2+)
水素イオン(H+)
57.2
23.7
26.0
95.2
30.3
1.4
0.0
2.2


(計)236.0

フッ化物イオン(F-)
塩素イオン(Cl-)
水硫イオン(HS-)
チオ硫酸イオン(S2O32-)
硫酸イオン(SO42-)
炭酸水素イオン(HCO3-)
炭酸イオン(CO32-)
ヒドロ硫酸イオン(HSo4-)

1.6
56.7
0.0
0.0
619.3
0.0
0.0
44.6


(計)722.2
遊離成分 mg/kg その他の微量成分 mg/kg

非解離成分
メタケイ酸(H2SiO3)
メタホウ酸(HBO2)
遊離硫酸

溶存ガス成分
遊離二酸化炭酸(CO2)
遊離硫化水素(H2S)


196.6
8.0
0.2
(計)204.8

605.4
102.7
(計)708.1
総ヒ素
銅イオン
鉛イオン
総水銀
0.005未満
0.01未満
0.005未満
0.0005未満

■分析年月日:平成26年5月30日 ■分析機関:社団法人福島県薬剤師会

湯治とその入浴法について

玉子湯の湯小屋右浴槽内。百四十年前当時の建物で、脱衣場と洗い場が一体となっているという東北の湯治場の形態を良くとどめている。

昔から温泉療養として近郷近在の人々は、高湯温泉を湯治場として利用して来た。 秋の収穫後などに米味噌寝具などを抱え、2週間3週間と逗留し、年に数度の楽しみにしてた。 現在でも伊達郡農家の御年寄りの昔話として「子供の頃、祖父達の湯治について行って、高湯のふもとの上姥堂に着くと馬子を雇ってくれた。私は馬の背で高湯に行ったものだ」という体験談を聞く事ができる。 旅館としての宿泊営業形体が現在のように確立していなかった江戸時代の頃は、利用する集落ごとに湯治小屋を所有し、そこで湯治宿泊をしていた。 その頃の利用者は年間延べ1万2千人にものぼる。 この数字は年貢として納められた税金の湯銭により計る事が出来る。 さて、そのような歴史のある湯治だが、入浴法については高湯の伝承がある。 単に娯楽だけではなく、療養として温泉を利用してきた入浴である。 不思議な事に他の湯治場での湯治入浴法とかなりの共通点があり、 療養としての入浴法は、経験的にどの地でも同じになるという事であろうか。

1.三日一廻り

一廻りで体を温泉に慣らし、二廻り目で体の悪い部分が抜け(湯さわり)、三廻りで改善に向かう、「三日一廻り」と言われる高湯温泉の湯治。滞在は少なくとも三廻り10日間程度が望ましい。但し温泉に体が合わない人は無理をしない事が大切。

2.入浴は1日に3〜4回、10分〜30分程度

入浴時間は温泉に体が慣れてから1日に3〜4回、10分〜30分程度にすること。食後すぐの入浴は控え、気分にまかせての長湯も禁物。発汗作用を促すために入浴前にお茶・白湯・水などの水分を摂取すること。

3.入浴中は休憩時間を取らない

温泉療養効果を得るため石鹸の使用や化粧はしないこと。入浴中は休息などは取らず1回の入浴時間を消化する。続湯が難しい場合は半身浴または足湯などの部分浴でも良い。

4.神経痛・慢性リウマチ・麻痺などの方の入浴法

神経痛・慢性リウマチ・麻痺などの方は湯の中で患部を無理せずゆっくり動かすと一層の効果が期待できる。関節炎の方は浴後に患部を冷やさないように。

5.入浴後は1時間ほど横になること

入浴後は各部屋にて1時間ほど横になることで温泉療養効果が一層高まる。

6.飲泉する際の心得

慢性便秘・痔・糖尿病などへの飲泉希望の場合、一日に1〜2回小盃に1杯程度を、ゆっくりと飲むこと。人や体調によって下痢を起こす場合もあるため回数と量には注意。但し飲泉はあくまでも昔からの慣習であって飲泉許可は未取得である。

7.森林浴も湯治のうち

温泉の効用は泉質もさることながら、自然の中での転地効用もあるとされる。晴れた日の散歩も効果が期待できるため自分ペースでの散策も積極的に行うと良い。

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入浴による療養効果とは