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高湯よもやま話
高湯温泉の歴史や出来事など…
高湯温泉 旅館玉子湯 今昔話
2017/04/17 | 永山博昭
磐梯吾妻スカイラインが完成する前の玉子湯。当時は観光旅館ではなく自炊客を受け入れる湯治宿であった。この観光道路の開通により、高湯温泉の営業形態は大きく変わることになる。
元々の屋号は玉屋であったが、お客が温泉の匂いに因んで玉子湯と呼ぶのが通称になり、それを旅館名とした。現在の玄関右脇にある玉子湯の看板裏には、玉屋の文字が見て取れる。
旅館の写真は湯小屋のある現在の庭方面から撮っており、湯小屋は創業150年当時のままの同じ場所で健在である。
玄関が見えるが、こちらが正面でバス道路である。現在の道路はこの裏を迂回している。停留所は玄関前にあり、現在の高湯のんびり館駐車場をとおり、旅館ひげの家の前を経由して、終点は安逹屋旅館であった。
玄関周りに馬子が2頭見えるが、徒歩で通った時代の風景であろう。ふもとの庭塚姥堂から高湯まで、2里の道中をサポートしていた。現在の上消雪道路下る左側には馬頭観音碑があり、道中の安全祈願や使われた馬を祀っていた事がうかがわれる。
当時の福島交通と山形交通のバス路線図を見ると、路線はきめ細やかで本数も多い。自家用車を利用しての観光が始まる前の時代は、利用者に便利な時代であったのかとも思われる。またそれらを利用しての人々の娯楽への意欲も感じられる。
当時の玉子湯には口達者な番頭がおり、バス乗車の湯治客をここで全員降ろしてしまい、終点には空バスが到着して安逹屋の大旦那は憤慨したそうであった。
それで現在の道路に付け替えたのだという昔噺があるのだが、実話であったかどうかは定かではない。
当時の紹介文を引用してみる。
玉子湯(温泉地名となっている)の玉屋
渓流に臨んだカヤ葺屋根の浴館は、古風な山の湯としてよい。湯にひたつていると、こうした環境の浴場はいつまでも残したいと思う。郷愁に似た懐かしさを感じて來る本館は大きな宿で、待遇も素朴な親切味に溢れている。福島市に近く、なおこのように野趣深い温泉を残しているのも、矢張り東北なればであろう。
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